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メディアグランプリ

マシンガンが撃てなくなる日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:山田徹(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「何に嫉妬してますか?」
こんな質問をされた、しかも、さっき会ったばかりの初対面の著者さんスタッフ含め8人の前で……。
こんなシチュエーションは滅多にないだろう。
 
これは池袋で嫉妬の本のトークイベントに参加した時の出来事だった。
この日は、あいにくの台風で外出する人が少ないからなのかもしれないが、
トークイベント参加者は私を含め5人だけだった、
少人数でラッキーといえばラッキーなのだが、内容が嫉妬の本。
 
後ろの方でひっそりとお話を聞けて帰ればいいなって気持ちで聞きに来たのが本音のところ、
始まる時間のぎりぎりで到着したので2列目あたりに……、
 
ん? なんで一番前のど真ん中が空いているのですか?そこだけは、ご遠慮します。
 
「どうぞ、せっかくなので!」スタッフさんから当然のようにご案内がくる、
そうですよね、せっかくですからということで座った、心が落ち着かないど真ん中の椅子。
 
通勤の電車でも安心感がある端の席をハンターのように狙っている自分には
居心地がとてつもなく悪すぎる、ど真ん中の椅子だった。
 
テーマは嫉妬について、こうなると、一人ずつ順番がまわって「ひとこと」を言う機会が必然的に増える。黙り込むわけにもいかないし……。
 
人数が少ないので自己紹介をしてグループディスカッションのようになってしまった。
 
そこで、必ず出るであろう質問が出た、それは、「何に嫉妬してますか?」
 
何に嫉妬をしているか? 何に? 何に? 
フルスロットルで考えた、嫉妬について左から数えて3番目に答えて言う順番がまわってくる。
 
先の2人はあまり嫉妬しないと言う、そういう答え方があったか、
そうだよ、それなら無難だしそれでいこう。
 
と思っていたのにも関わらず、口からは違う言葉が出ていた。
 
「妻に嫉妬してました!」
 
おい、おい、最初から本音をぶちまけるな、エンジンがあったまってからアクセルは踏むものだよね、すこしずつ小出しにしていこうよ、ペース配分がおかしい。
「あ~ありますね、カップルとかの嫉妬!」
と男女の嫉妬に意外にも共感されてしまった。
 
事実として長い間、妻に嫉妬していた。そのままいけば離婚の危機だった。
当時の妻は音楽関連の仕事をしており、紹介で仕事を頂いたりしていた。
紹介でなんか仕事もらったことがないから嫉妬する。
 
明るく振る舞いかわいがられているらしい、
しかも音楽関連の仲間が多数いて、マニアック過ぎて私には全くわからない人もいた。
これにも嫉妬する。
 
妻と比較すると私は人見知りで、友達も少ない、仲間に入れてほしいとも言えなかった。
 
一度だけ音楽関係者の飲み会に参加しても全く話がわからないのでまるで異国にいるようだった。
 
妻はさらに絶対音感のスキルも持っていた、私がおならをするとファの♯シャープとか言ってくる。おならを音階になおすスキルだ、絶対音感なんて持ちやがってとさらに嫉妬する。
 
比較すればするほど自分が無能に思えてくる。
焦げたパンのキャラクターみたいだね、と妻に言われていた。
こげたぱんの売れ残りキャラクターが人気があるらしい。
どうせ僕なんて……、といつもやさぐれている。
 
確かにそっくりだけど、こげたパンのキャラクターとして売れている。
キャラクターにまで嫉妬していた。
 
そもそも、妻に限らず他人にいつから嫉妬するようになったのか?
考えてみると小学校低学年くらいだろうと思う、あの友達は野球うまい、背が高い、
外食が多い、足がはやい、頭が良い、物知り、ピアノある、お菓子屋さんやっている、
いいな~、いいな~という無いものねだりだ。
 
大人になると、あの人の給与が高い、マンション買った、起業して稼いでいる、
いいスーツや時計している、後輩に給与抜かれた時もそうだ。
 
比較すること、それがずっと続いていたんだ。
 
比較することで、周りの人にどんどん嫉妬していった。
嫉妬のマシンガンをズドッドッド~と撃ちまくっていたことになる。
 
あなたのそこと、そこがすごい、君はそれがすごい、
その度に、ズドッドッド~、マシンガンの連射は続く、
会う人の全てと比較して、自分よりもすごいから嫉妬マシンガンを撃ちまくる。
 
外出すれば、止まらない嫉妬のマシンガン連射だった。
 
そんなある日、自分にマシンガンを向けた人がいた。しかも連射だった。
もちろん見えない、表向きは気づかないように陰で嫉妬されていた。
 
あれ?
 
違和感を感じた、私にマシンガンが向けられる? 
嫉妬されるということはその人と比較してほしいものや手に入れたいものを自分が持っている可能性がある。
 
マシンガンを撃つ事ばかりしていたけれど、自分にもマシンガンが向いたことで
気付かないけれど価値あるものを持っているということ。
 
この頃から、嫉妬のマシンガン撃ちながらも、持っているものを書き出してみたりした、
まず健康だし病気もしていない、住むとこあるし、着るものもそれなりに……。
 
あるものに目を向けたら、たくさんある、ありのままの自分もいいのかな思えた、
定期的にあるものをたくさん探して書き、人にも聞いてみる。
 
こんなことを数年かけてやっていった。
 
そうすると、なんだかマシンガンを撃つ弾が減っていった。
 
ただ、嫉妬はなくなってはいないし、なくそうとも思わない、
嫉妬を感じる人がいたら冷静になったときに、
その人のどこに嫉妬するのかを見てあげると自分の望みがわかったりするセンサーのようなもので大事にしてあげようと思う。
 
現在は嫉妬のマシンガンのズドッドッド~から単発の拳銃でパンパン撃つくらいの嫉妬になっている。
 
もしかしたら、我慢しすぎて嫉妬の大砲でドカーンと撃つ時もあるかもしれない。
 
妻は嫉妬する自分とずっと一緒にいてくれた、辛かったろうな~、疲れるとも思う、
応援している人から嫉妬される、よく忍耐強く我慢してくれた、離婚も考えていたという。
 
私は、ありがとう、と感謝をすることしか今はできない。
 
嫉妬についてなんて普段は考えないことを
振り返るきっかけのトークイベントがまたあったら行ってみようと思う。
 
家で気が緩むと妻の前でおならをしてしまう。
 
その度に「今の音は何?」とすぐに聞く、
妻の絶対音感のスキルは私にとって楽しむものになっていた……。
 
***

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2017-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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